みなさんは、埴輪についてご存じですか?
きっと多くの方が「そんなの知っているに決まっているよ」と思っているかもしれませんね。でも、いつ、何のために、どうやって作られていたのかと聞かれると分からない方も少なからずいるはずです。私も同じです!
埴輪には前から興味を持っていましたが、2024年10月16日より、上野の東京国立博物館で、はにわ展が開催されます。是非、行ってみたいのですが、何も知らずに乗り込むのは埴輪に失礼であるため、基本はしっかりとおさえていきたいと考えており、その成果をせっかくなのでみなさんと共有できれば幸いです♪
【参考】
東京国立博物館 – 展示・催し物 展示 平成館(日本の考古・特別展) 挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」
それでは埴輪の世界に行ってみましょう!!
埴輪は何のために作られたのか?
まず埴輪は、一般的に古墳で発見されます。古墳ということは、昔の王など権力者のお墓ですよね!?
そこに、死後の住処を表していると思われる「家形埴輪」、王が司る政治の時間を象徴するものとして「鶏の埴輪」、死者の魂を運ぶ存在として「水鳥の埴輪」などが置かれたようです。
また、「円筒埴輪」という筒の形をした埴輪は、古墳で最も多く使われたようです。これは、古墳を神聖な場所として守る、古墳を立派に見せるといったような役割がありました。
【参考】
円筒埴輪|名古屋市博物館
さらに、王や巫女、馬曳きなど、多種多様な人物を象った「人物埴輪」もあります。これらは、1体のみで何かを表しているのではなく、他の埴輪と並べることで、政治や儀式の場面を表現しています。そのように、複数の埴輪が意味を持って並べられているものを「埴輪群像」と呼びます。埴輪群像は、王や豪族の威厳を示したり、生前行った政治や祭り、狩猟などの様子を表現し、死んだ王の正当性を村の人々に伝えるために配置されたと考えられています。
いつの時代に作られていた?
埴輪の起源は弥生時代後期(2世紀頃)までさかのぼります。当時の吉備地方(現在の岡山県から広島県東部)では、葬式用の道具として「特殊壺」と、それを載せる「特殊器台」を墳墓に備えていました。これが大和(現在の奈良県)などへ広がっていき、古墳がつくられる頃にはしだいに円筒埴輪へと変化し、発展していったと考えられます。
しかし、古墳時代の後期になると、古墳が小規模化していきます。6世紀の後半には西日本から東日本の順に前方後円墳がつくられなくなっていきました。そして、7世紀初頭には、東日本でも前方後円墳がつくられなくなったことから、古墳に置かれていた埴輪作りも終焉を迎えました。
【参考】
世界最大級の墓「仁徳天皇陵古墳」と百舌鳥古墳群:大阪府堺市 | nippon.com
私が個人的に好きな埴輪
私は人型の埴輪に強い興味を惹かれます。なぜなら、埴輪を作っていた当時の様子や価値観が垣間見れるからです。これが私にとっての最大の魅力です♪
例えば、男性は額の真ん中で分け耳元で縛る「美豆良」という髪形をしており、女性は髪を前後に分けて折り曲げ、ひもなどで結ぶ「潰し島田」という髪形をしていました。
巫女型の埴輪からは、ネックレスやイヤリングなどの装飾品を身に付けていたことなども伺えます。
また、特定の職業を表した埴輪も見つかっており、農夫の埴輪からは、手に持った鍬や頭にかぶった菅笠から、農作業の様子を推測することができます。
人物埴輪群像も面白いです。例えば、王と巫女が対座する祭祀の場面を表しているものがあります。そこには、主役の王が合掌しておりしており、スカートを履いた巫女に向き合っている。中央の台座には3人の女性が座っています。彼女たちは「楽人」であり、腕の角度によって弦を張り、親指で弦を鳴らす「鳴弦の呪術」で神を呼んでいると考えられます。
【参考】
常設展示 | 群馬県立歴史博物館
埴輪から当時の姿を想像し、気持ちは古墳時代にタイムスリップできますね♪
埴輪と土偶って何が違うのか?
ちょっとおまけの話になりますが、多くの人は埴輪と土偶って何が違うのか疑問に思っていることと思います。もちろん、違うものというのは分かりますが、どう違うかについて説明するのは難しいですよね!?
違いを簡単にまとめると次のとおりになります。
- 作られた時期
埴輪は古墳時代(3世紀後半~6世紀末頃)
土偶は縄文時代のうち早期から晩期(約11,500年前~2,400年前頃) - 発見される場所
埴輪は主に古墳で発見される
土偶は集落の跡から見つかることが多い - 作られた目的
埴輪は古墳を守る、聖域を示すなどの目的
土偶は安産や子孫繁栄の祈願のため
埴輪と土偶って似ているようで、全然違うものなんですね!?
【参考】
東京国立博物館 – コレクション コレクション一覧 名品ギャラリー 館蔵品一覧 遮光器土偶(しゃこうきどぐう)
まとめ
どうでしたか?埴輪に対する知識は深まったでしょうか?
埴輪たちをよく観察すれば、古墳時代の人々の文化・風習などが見えてくるはずです。また、どんな思いで作ったのかなぁなどと想像しながら見てみるのもいいですね♪
はにわについて、基本知識を押さえることができたので、上野で開催される「はにわ展」に行ってみたいと思います。その時の感想もブログでお伝えする予定です!!
【参考図書】
楽しく学べる歴史図鑑 はにわ
監修・若狭 徹
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