この前、鎌倉のあじさいを巡る歴史散歩をしていて、日蓮宗のお寺である光則寺に宮沢賢治の作品である『雨ニモマケズ』の歌碑がありました。
なぜ、「日蓮宗のお寺に歌碑があるのか?」が気になりましたし、そもそも宮沢賢治という人物について、ちゃんと理解していなかったということに気づき、調べてみることにしました。
今回は、そんな彼の人生や思想的特徴などについて簡単にまとめていきたいと思います。
関連ブログは次のとおりです。
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『雨ニモマケズ』を読んで | くま吉の歴史散歩ブログ (ashigarukumakichi.com)
宮沢賢治の生涯について
宮沢賢治(1896-1933)は、日本文学史にその名を刻む作家・詩人です。彼は岩手県花巻市で生まれ、幼少期から自然とのふれあいが豊富でした。父政次郎は質屋と古着店を営んでおり、地元では裕福な家庭として知られていました。賢治が詩人などの活動ができたのも、家族の経済的な支えがあってのことでした。
なお、彼にはトシという妹がいました。非常に親しい関係で、彼は恋愛のような感情を抱いていたという説もあります。トシが24歳の若さで亡くなった時、賢治は「永訣の朝」などの詩を書き、その悲しみを表現しています。涙なしには読めない作品です…
さらに、彼は羅須地人協会設立して、農業指導者としての活動も行いました。1926年、農学校を退職した賢治が農民たちを集めて農業技術や農業芸術論などを講義するために設立したものです。1928年に病気になるまで、賢治はこの建物で自炊生活をしていました。農民たちの中には、宮沢賢治の活動を金持ちの道楽息子の遊びと考えていた人もいおり、宮沢賢治がその中に溶け込めない部分もあったようです。
そして、彼の生涯は病との闘いでもありました。若くして結核に罹患し、その厳しい病と向き合いながらも、彼は文学の道を突き進みました。病気という限界を超え、彼は自らの内面から湧き出る感情や思索を文字にしました。
1933年、37歳の若さでこの世を去った宮沢賢治ですが、彼の文学的遺産は今なお色あせることなく、日本文学の古典としてたたえられています。学校の教科書でも習った作品もありますよね!?彼の作品は、私たちに多くを教えてくれる存在であり続けます。
宮沢賢治の思想的特徴は?
宮沢賢治の思想的な特徴は、深い人間愛と自然への畏敬が重要な要素です。彼の作品は自然と人間の絆をテーマにし、人間の内面や心の葛藤を繊細に描写します。
また、宮沢賢治の作品には生命の尊さや共感の大切さが強く反映されいます。彼はベジタリアンであったようで、次のような作品の中にも、動物などでも殺すべきではないという思想が見えてきます。「ブラドン農学校の豚」「烏の北斗七星」「よだかの星」などの作品です。
さらに、利他の精神が大事だと考えているようです。「銀河鉄道の夜」では、他人を救うために自分の命を落とした子供が描かれています。加えて、「雨ニモマケズ」では、自分は無欲でいて、他人のために尽くしたいといった内容が書かれています。しかも、誰にも褒められなくていいと言っています。この点、自己犠牲の精神として、日本でも称賛されることがあるかと思いますが、私は反対の立場です。自分の命は大事だし、自分の幸せを大事にしていいと考えています。私自身が、健康で幸せを感じているからこそ、他人を助けたり、幸せにする力が出てくると思います。そこら辺は個人の考え方次第ですね。でも、最近は自己犠牲に走るばかりに心を病んでしまう人などが増えているので、私は懸念しているところです。
話は広がってしまいましたが、宮沢賢治の思想はその作品を通じて、現代にも深い啓示を与え続けています。
法華経との関係とは?
宮沢賢治は法華経の教えを実践するために、日蓮宗の宗教団体「国柱会」に参加しました。ここで彼は、法華経の教えを基にした創作や活動を積極的に行いました。
国柱会とは、1884年に田中智学によって創設された仏教団体です。日蓮聖人の教えを基にした「純正日蓮主義」を信奉し、在家仏教の模範教団として活動しています。
ちなみに、『雨ニモマケズ』は、みなさんご存じの作品かと思いますが、締めが次のようになっているのを知っていますか?
南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩
これを見ると、法華経の影響を受けているのが分かりますね!!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
宮沢賢治について、知っているようで知らなかった方も多いのではないでしょうか?今回は、彼について簡単にまとめましたが、正直まだまだ分かっていないことも多いです。彼の作品について一つ一つ丁寧に読みながら、彼の思想を表面的ではなくて、深く感じてみたいなぁと感じました。
是非、みなさんからも彼の作品の感想とか教えていただけると幸いです。ではでは
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