奈良旅行3日目、今日が最終日である。
本日のお寺巡りは、次のルートで回る。
JR奈良駅 ⇒ 薬師寺 ⇒ 唐招提寺 ⇒ 喜光寺 ⇒ 西大寺 ⇒ 大和西大寺駅
夕方には京都駅に行って、新幹線で帰る予定なので、12月末で寒いが、朝早くからスタートする。薬師寺は9時から開くのだが、張り切りすぎて8時半ごろに近くのバス停に着いてしまった。
北風も強く、とても外でじっと待っていられないので、薬師寺入口のすぐそばにあるカフェでコーヒーを飲んで待機。そこのパンがおいしそうであったが、ちょっと前にホテルのバイキングでたくさん食べてきたので我慢する…旅行といえども、安易にお金を使わないことは大事だ。
さて、そろそろ薬師寺のご紹介をしていく。
薬師寺とは
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薬師寺は天武9年(680)天武天皇により発願され、持統11年(697)持統天皇によって本尊を開眼、さらに文武天皇の時代に、飛鳥藤原京において堂宇の完成をみた。その後、和銅3年(710)の平城遷都に伴い、養老2年(718)平城京右京に移された。
東西両塔を有する薬師寺式伽藍は、我が国随一の壮美を誇っていた。しかし、度重なる災害によって衰退していき、昭和初期には辛うじて難を逃れた東塔だけが残されているような状態であった。その後、昭和42年頃から再建が進んでいき、現在のような立派な境内へと蘇ることができた。
なお、薬師寺は平成10年(1998)12月に世界遺産に登録されており、奈良を代表するお寺の1つとなっている。
境内を散策
それでは、薬師寺の境内に入っていく。
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東院堂
養老年間に吉備内親王が、元明天皇の冥福を祈り、発願し建立された。現在の建物は、弘安8年(1285)に再建され、享保18年(1733)に西向きに変更となった。鎌倉時代の建築様式を巧みに残しており、日本最古の禅堂として知られている。
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東院堂には、聖観世音菩薩立像(国宝・白鳳時代)などが安置されている。
ちなみに、さまざまな観世音菩薩の中で、変化していない本来の姿ということで、「聖観世音菩薩」と呼ばれている。特徴としては、肩のあたりまで幾筋かに分かれて下がる垂髪、二重の首飾り、透き通るような衣服、花びらのように繊細で美しい指の動き、そして直線的な姿勢が挙げられる。これらは、インドのグプタ王朝の影響を強く受けている。この像の美しさは際立っていて、それを見る人々の心を惹きつけるような力があるようだ。
また、本像を囲むように、四天王像(重文・鎌倉時代)が祀られている。
東院堂 – 奈良薬師寺 公式サイト|Yakushiji Temple Official Web Site
中門
東院堂を出て順路を進んでいくと、中門が存在する。ここには怖い顔をした仁王像が待ち構えている。いつ作られたものかは分からなかったが、色がついているので新しいのか?それとも、作風が古い年代のように見受けられるので、奈良時代くらいの作品なのか?などと考えながら進んでいく。
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東塔(国宝・白鳳時代)
さて、ここまで薬師寺の外側をぐるりと回ってきたが、いよいよ中心部に入っていく。そこでまず目に入るのが東塔である。こちらは、創建当時から残る唯一の建物となっている。各層に裳階をつけているため六重に見えるが、三重の塔である。この特異な形が、全体として律動的な美しさを保ち、『凍れる音楽』と称され親しまれている。
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私も一見して「これは何重の塔なんだ?」と思ったが、言われてみれば三重塔であるような気がしてきた。そして、薬師寺がここまでしっかりと再建されたのも、この東塔があったからこそなのかもしないと感じている。なかったら、再建を諦めていたかも。それは、想像でしかないが、薬師寺を語る上ではポイントとなる建物であることは間違いない。
西塔
享禄元年(1528)に創建以来の建物が焼失したため、昭和に実施された東塔への綿密な調査に基づいて設計され、伝統的な木造建築の工法で再建された。屋根の勾配をゆるくし、また青に塗った連子窓設ける点は創建当時の形式による。
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西塔はやはり新しい感じがするが、創建当初の作りを知ることができるし、色合いがきれいで素晴らしい。特に、連子窓っておしゃれでかわいい。
金堂
薬師如来の浄瑠璃世界を彷彿とさせる堂塔は、龍宮造りと呼ばれていたが、享禄元年(1528)焼失し、慶長5年(1600)に仮金堂が建立された。その後、昭和46年(1971)から5年の歳月をかけて、創建当初の姿で再建された。
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その内部には、薬師三尊像(国宝・白鳳時代)が安置されている。その中で私が注目したのは、薬師如来の台座である。框には、ギリシャ由来の葡萄唐草文様、ペルシャの蓮華文様が描かれている。下框には、四方に中国の霊獣である四神が表現されており、当時の東西の交流を感じることができる。
金堂 – 奈良薬師寺 公式サイト|Yakushiji Temple Official Web Site
大講堂
多くの学僧が仏教の教学を学んでいた古代の伽藍では、金堂よりも講堂の方が大規模であった。こちらは、平成15年(2003)に再建され、伝統工法による復元建築としては史上最大級である。
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内部を見てみると、本尊である弥勒三尊像(重文・奈良時代)や仏足跡(重文・奈良時代)などが安置されている。
大講堂 – 奈良薬師寺 公式サイト|Yakushiji Temple Official Web Site
まとめ
境内全体の雰囲気としては、自然は少ないが、すごくきれいに整備されている印象である。奈良でいうと、興福寺と似たような感じかと思う。どちらも大部分が焼失してしまってからの再建という歴史があるからなのだろうか!?どちらも、貴重な仏像などを通して歴史を間近で感じることができる点も共通している。
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また、境内がかなり広いのも特徴であった。建物や仏像などをじっくり見て回ると1時間くらいかかったかもしれない。それだけ楽しめるということでもあるので、是非みなさんにも薬師寺を訪れていただければと思う。
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